令和7年第1回伊達市議会定例会(2月28日開会)で、伊達市長が令和7年度市政執行方針について所信表明しましたので、全文を掲載しご紹介します。
第1章 はじめに
令和7年第1回伊達市議会定例会の開会に当たり、令和7年度の市政執行につきまして、私の所信の一端を申し上げます。
昨年は、能登半島地震や豪雨、豪雪などの自然災害の発生によって日常生活が一変し、防災の重要性について改めて考えさせられる1年となりました。
本市も、有珠山噴火を含む自然災害のリスクについて日頃の備えに万全を期すとともに、関係機関等と連携し、市民の生命・財産を守り安心して生活できるまちづくりを進めて参ります。
さて、先般、報道にありました「人口戦略会議」の公表によると、本市は若年人口の減少によって「消滅可能性都市」と指摘される厳しい現実に直面しております。
若者世代の流出を最小限に食い止め、また戻って来たいと思えるまちにしなければ、基礎自治体としての持続性が危ぶまれ、地域の消滅につながります。
この現状を変えるためにも最重要課題である少子化対策として子育てしやすい環境を整えるとともに、安心して働き、子育てができるまちづくりに取り組むことが重要であると認識しております。
国では「地方創生2.0」を掲げ、地方の持続可能な発展を目指すため、地域の持つ潜在力を最大限に引き出し、若者などに選ばれる地域、高齢者も含めあらゆる人々が安心安全に暮らせる社会の実現に向けて取組を進めるところです。
一方、地方では人口減少に起因する労働力不足やコミュニティの衰退が深刻化しております。社会環境は大きく変動し、今までの価値観が成り立たない社会になりつつありますが、このような転換期だからこそ、新たな発想を持ち、知恵を出し、将来を見据えながら豊かで希望を持てるまちづくりを進めていかなければなりません。
私たちを取り巻く環境に危機感を持ちながらも、悲観するだけでなく未来へのまちづくりを進める契機と捉え、諸課題の解決に向けて、前向きにチャレンジして参ります。
本市では、図書館の再整備、市役所庁舎の建替、地域経済の活性化など解決すべき課題が様々ありますが、着実に歩を進め、市民、市議会、関係団体の皆さまと市政の方向性を共有しながら、各施策に取り組んで参ります。
同時に、物価高騰による歳出の増加や人口減少による税収の減少など、今後の財政見通しは厳しい状況であります。
急変する社会情勢への対応を行いつつ、行財政の見直し、選択と集中による事業の整理、効率的な行政運営に努めることで市の財政負担を最小限に抑えるとともに、国や北海道等の補助金など有利な財源を活用しながら、将来に負担を残さない市政運営を進めて参ります。
将来も安心して住み続けられるまちとするために、子どもの笑顔がまち全体に活力を生み出す「子どもの笑顔が真ん中にあるまち」の実現に向けて、市政の舵取りをして参りますので、市民並びに市議会議員の皆さまの一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。
第2章 未来につなぐ伊達の実現に向けて
私は、「子どもの笑顔が真ん中にあるまち」を基本理念として、
- 「子どもたちの自信と笑顔があふれるまちづくり」
- 「子育てがしやすいまちづくり」
- 「安心・安全に生活をおくれるまちづくり」
- 「地域経済に活気のあるまちづくり」
- 「市民一人ひとりの声を受け取るまちづくり」
- 「持続可能で充実した行政サービスを提供できるまちづくり」
- 「伊達市の将来を見据えたまちづくり」
以上の7項目を重点施策と位置づけ、取り組んで参ります。
1点目の「子どもたちの自信と笑顔があふれるまちづくり」についてであります。
安心して子どもを育てるためには、質の高い教育の実現が重要であり、学力の向上のほか、子どもの可能性を広げ、チャレンジできる環境づくりに努めて参ります。
令和6年度は、小中学生の資格取得への支援を実施し、更に対象となる検定範囲を拡大いたしました。
また、主体的に考え課題解決につながる能力を育む「だて学」につきましては、他の地域や大学等との連携を行うことで児童生徒の視野を広げるなど、内容の充実を図って参ります。
これらの取組を通じ、子どもたちの探究的な学びを深め、本市が有する地域資源を活用し、魅力ある教育を受けられる環境づくりを進めて参ります。
2点目の「子育てがしやすいまちづくり」についてであります。
子育てがしやすいまちは、全ての世代にとって生活がしやすいまちであると考えております。
現在、整備を進めている伊達市立図書館につきましては、居心地の良い魅力ある施設とするほか、子どもたちのみならず、多世代が集う生涯学習の拠点となることを目指して取組を進めて参ります。
また、引き続き、学校給食費の助成及び一部無償化を実施するほか、18歳までを対象とした子ども医療費の一部助成を行い、子育て世帯の経済的負担を軽減して参ります。
併せて、子育て世帯への伴走支援のため「(仮称)伊達市こども家庭センター」の開設に向け準備を進めて参ります。様々な不安や悩みを持つ妊産婦や保護者に寄り添いながら、安心して子どもを産み育てられる環境の充実を図って参ります。
3点目の「安心・安全に生活をおくれるまちづくり」についてであります。
近年、各地で相次ぐ自然災害のほか、有珠山噴火のリスクがある本市においては、日々の備えが重要です。
有珠山噴火時の避難計画の見直しを実施したほか、市内学校や団体向けに防災講座を実施し、防災意識の向上を図って参りました。引き続き、災害時における「自助」「共助」の重要性について啓発活動に努めて参ります。また、津波災害時の避難ビルの確保や、鉄道の横断についてJR北海道との協議を進めて参ります。
併せて、市民生活や経済活動を支える公共交通を「社会インフラ」と捉え、地域、交通事業者及び行政が一体となって、地域公共交通の在り方について抜本的な見直しを進めて参ります。既存の交通手段の効率化や利便性向上を図るほか、ライドシェアに取り組む交通事業者を支援しながら、持続可能な公共交通を目指して参ります。
4点目の「地域経済に活気のあるまちづくり」についてであります。
本市の基幹産業である農業をはじめとした第一次産業を生かしながら、各関係団体の皆さまと連携し、既存産業の振興を目指して参ります。併せて、新規出店や起業等に対して伊達商工会議所と連携しながら支援を行い、雇用の創出につなげて参ります。
また、本市の特徴である基幹産業や豊かな自然環境、札幌圏から近い立地条件など、地域の特性を生かした企業誘致を進め、新たな雇用の創出や、市外からの投資を促して参ります。
加えて、本市が有する食や観光の魅力を全国に向けて発信し、伊達市の認知度向上と地域経済の活性化につなげて参ります。
特に近年、本市のふるさと納税では寄附額の向上が見られることから、制度を十分に活用し、地場産品の販路拡大に向けて、事業者と協力しながら取組を進めて参ります。
5点目の「市民一人ひとりの声を受け取るまちづくり」についてであります。
行政運営を進めるに当たり、市民の皆さまがまちづくりに対して理解を深め、行政と市民が市政の方向性を共有することが重要であると考えております。昨年は、多くの皆さまとタウンミーティングを実施し、参加者から市政に対する思いを伺い、私からは市の施策についてご説明させていただきました。
本市を取り巻く環境は厳しい状況ですが、対話を通じて、地域の課題や優先すべき施策等について理解を深め合う機会になったと感じております。一足飛びに全ての課題を解決することはできませんが、引き続き、市の施策について、わかりやすい情報発信に努め、市民の皆さまと共にまちづくりを進めて参ります。
また、市民協働を推進するため、市民の自発的な活動について支援を行い、まちづくりへの参画も促して参ります。
6点目の「持続可能で充実した行政サービスを提供できるまちづくり」についてであります。
地方行財政を取り巻く厳しい環境の中、負担を次世代へ先送りすることなく、施策や事業の優先順位をしっかりと見極め、安定した財政基盤の確立を図って参ります。
また、厳しい予算編成の中でも、知恵を絞り、効果的な施策に取り組むほか、事業の精査とDXの推進による効率的な業務改善を行い、必要な市民サービスの維持に努めて参ります。
併せて、複雑化及び多様化する社会課題に対応するため、地域おこし協力隊や地域活性化起業人などの外部人材の登用や現在、室蘭工業大学等と共同で取り組んでいる「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)事業」など民間の力を活用しながら、本市の課題解決に取り組んで参ります。
7点目の「伊達市の将来を見据えたまちづくり」についてであります。
未来につなぐ伊達の実現のためには、年少人口・生産年齢人口の減少を食い止め、伊達市を次世代に引き継いでいかなければなりません。
そのためには若い人が住み続けられるまち、伊達に戻ってきたいと思えるような魅力的なまち、市外からも積極的に投資したいと思えるまちにする必要があると考えております。そのためにも本市の資源を磨き上げ、外部に積極的に発信して参ります。
また、魅力ある地域づくりや奨学金返還支援事業など、各施策を組み合わせながら定住促進と地域の人材確保を図って参ります。
併せて、行財政運営などの見直しを進めると同時に、行政サービスの整理及び検討を進める必要があると考えております。「自助、共助、公助」における、市民と行政の役割分担など、市民の皆さまと対話を重ねながら、これからの社会に適応した地域コミュニティの在り方を検討して参ります。
これらの施策を進めるに当たり、社会状況の変化に対応するべく、柔軟かつ着実にまちづくりを進めて参ります。
第3章 予算編成の概要・第4章 主要施策の概要
詳しい内容は、ページ下部のデータをダウンロードしてご覧ください。
第5章 おわりに
以上、令和7年度の市政執行に臨む、私の所信の一端を述べさせていただきました。
人口減少社会に起因する多くの問題によって、地方を取り巻く環境は厳しさを増すばかりです。
しかしながら、北海道においては、ニセコエリアのインバウンド需要や千歳市周辺の次世代半導体関連企業の進出による地域経済の底上げも見られるなど、明るい話題もあります。
これらの波及効果も想定されることから、両地域から近く地理的に恵まれている本市においても、市外からの投資を呼び込み、伊達市の資源と融合させることで、新たなイノベーションを起こすことができるチャンスでもあると考えられます。
社会情勢の動きを的確に捉えながら、本市の持つポテンシャルを外部に発信し、将来を見据えた効果的な施策を展開していくことが不可欠であります。
必要な施策にスピード感を持って取り組むとともに、市民、関係団体の皆さまと対話を進め、共にまちづくりを進めて参ります。
「子どもの笑顔が真ん中にあるまち」を目指し、子どもや若者、高齢者など全ての市民の皆さまが、生き生きと暮らし活躍できる環境をつくるため、伊達に魅力を感じ、誇りに思えるまちの実現に向けて、全力で市政に取り組んで参ります。
市民並びに市議会議員の皆さまのご理解とご協力を引き続き賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
一括ダウンロード
PDF令和7年度市政執行方針について (524.7KB)
分割ダウンロード
第1章
PDFはじめに (426.4KB)
第2章
PDF未来につなぐ伊達の実現に向けて (430.9KB)
第3章
PDF予算編成の概要 (438.3KB)
第4章
PDF主要施策の概要 (460.0KB)
第5章
PDFおわりに (424.5KB)
過去の市政執行方針
PDF令和6年度市政執行方針 (515.7KB)(令和6年第1回伊達市議会定例会)
PDF令和5年度市政執行方針 (267.1KB)(令和5年第2回伊達市議会定例会)
PDF令和5年度市政執行にあたって (493.9KB)(令和5年第1回伊達市議会定例会)
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