北黄金貝塚を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産になりました!
世界遺産への登録が決定しました!
令和3年7月27日(火曜日)に開催された第44回ユネスコ世界遺産委員会において、北黄金貝塚を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」を世界遺産に登録することが決定されました。世界遺産登録まで、常にお力添えをいただいてきた市民の皆様をはじめとする全国の皆様のご支援に心からお礼を申し上げます。
伊達市では、人類共通の宝である北黄金貝塚を確実に将来の世代に引き継いでいくため、引き続き地域の文化資源の保護と活用に努めていきます。
史跡北黄金貝塚公園(内部リンク)
北海道・北東北の縄文遺跡群(外部リンク)
縄文遺跡の2つの価値とは
その1
専門家は「北海道・北東北の縄文遺跡群は、狩猟・採集・漁労を生業の基盤に定住を達成し、成熟した縄文文化へと発展を遂げた先史文化の様相を伝承する無二の存在」と言います。これを小学生にもわかるように説明すると次のようになります。「農業をしていない人たち(狩猟採集民)は獲物を追いかけて住む場所を変えるのがあたり前です。でも、縄文人は村をつくって何百年も同じ場所に暮らすめずらしい人たちでした。同じ場所で暮らすようになったおかげで、知恵や知識が蓄えられてレベルアップしました。だから、ビックリするような形の土器やきれいな色の漆器、天体の動きをあらわしたストーンサークルなどのお祈りの施設をつくれるようになりました。つまり、文化を究極まで高めた「スーパー狩猟採集民」が日本列島にいたことを示す証拠が縄文遺跡なのです。縄文遺跡を調べれば、人類史的に稀な人々の生き方や考え方を知ることができます」その2
専門家は「北海道・北東北の縄文遺跡群は、約1万年間もの長期にわたり気候変動や環境変化に適応し持続可能な定住を実現した、自然と共生した人類と環境との関わり、土地利用の形態を示す顕著な見本」と言います。これを小学生にもわかるように説明すると次のようになります。「地球の自然環境は過去1万年間に暖かくなったり、寒くなったり、動物や植物が変化したりと目まぐるしく変わりました。でも、縄文人は自然環境の変化に合わせて生きることができた「スーパー狩猟採集民」です。どんな環境の時でも、山の中でも海の近くでも暮らすことができました。つまり、縄文人は土地の恵みを活かして、自然破壊を最小限に抑えることで自分たちが暮らしやすい環境を1万年間も守ってきたことが分かります。このことは世界的にみてもめずらしいのです」PDF縄文遺跡の価値をかみくだき― (399.4KB)
北海道・北東北の縄文遺跡群
北海道と青森、岩手、秋田の4道県と関連する14市町は「北海道・北東北の縄文遺跡群」を世界文化遺産にするための取り組みを平成19年12月から行ってきました。
伊達市にある国指定史跡「北黄金貝塚」もその中心的な遺跡として選ばれています。
伊勢堂岱遺跡の小型土器(写真提供:北秋田市教育委員会)
縄文文化とは何か
縄文文化とは、今から約15,000年から2,500年前の日本列島に存在した文化です。その特徴は、それ以前の旧石器時代のような移動生活はしないで、決まった集落(ムラ)に住みながら、後の弥生時代のような農耕はせず、狩猟と漁撈、採集で食糧を得ていたということです。この縄文文化は、定住したことで人々の知識が蓄積されることを可能にし、土器づくりに代表される豊かな造形美を生み出しました。それと同時に、「自然の中の一員として生きる」という思想が表れた文化でもあります。
つまり、世界的に見ても現代的な課題になっている、「自然と文化の調和」を実現した社会だったことが注目されています。
是川中居遺跡の漆塗り土器(写真提供:八戸市教育委員会)
北黄金貝塚のスプーン状製品(所蔵:伊達市教育委員会)
縄文遺跡群の価値とは何か
縄文時代の社会は「自然と文化の調和」がなされていたといわれていますが、言い換えると、「自然を壊すことは必要最小限に抑え、自分たちの生活を維持しつつ、文化を成熟させた」ということです。例えば、貝塚の中からは、動物の霊を慰めた儀式の跡が見つかります。この動物儀礼の意味は、食料を得るために動物を捕ることはあっても、決して捕りすぎないように自らを規制するための社会的なシステムと考えられています。このほかにも、ストーンサークルや墓などからも当時の狩猟採集民の思想が読み取れます。
また、貝塚や低湿地の遺跡からは10,000年以上続いた縄文時代の環境の変化を示す証拠が数多く見つかっています。貝塚中の貝と魚の種類や、低湿地遺跡で出土する木材と花粉の分析から、寒暖・乾湿といった陸地の気候と、暖流と寒流といった海洋環境の変化もわかります。そして、縄文人は気候環境の変化にあわせて、獲物の種類や捕るための道具を変えていたことが、出土した動物の骨や道具類の時期的な変化からわかっています。
このように縄文遺跡群は、かつて日本列島に「定住型の狩猟採集社会」という世界的にも珍しい社会が存在したこと、そして現代の日本文化にも息づいている「自然と共生した文化」が存在したことを示す点に大きな価値があるのです。
北黄金貝塚の復元貝塚
是川中居遺跡の木製品(写真提供:八戸市教育委員会)
どうして北海道と北東北なのか
縄文時代の遺跡は北海道から沖縄までの日本列島全域で見つかっています。また、貝塚が多く見つかる東京湾や仙台湾、「縄文王国」ともよばれ国宝の土偶が出土した信州地方、火焔土器で有名な上越地方など各地に有名な遺跡があります。しかし、日本列島の中でも、特に北海道と北東北地域には縄文時代の遺跡が集中し、かつ学術的な価値と保存状態の良好さが評価された特別史跡と国指定史跡が数多くあります。これらは津軽海峡を挟みながらも縄文時代を通じて共通の文化圏であり、その範囲の広さと継続期間の長さは他の地域とは比べようがありません。しかも、各遺跡は、集落(ムラ)・貝塚・墓・祭祀場(記念物)などの縄文文化を語るうえで必要な要素がすべてそろっていて、これらの遺跡の組み合わせによって縄文文化の価値を十分に説明できるのです。
私たちは、日本列島全体の縄文遺跡の価値を世界に広めるために、まず条件の整っている北海道と北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産になることを目指しています。
北海道・北東北の縄文遺跡群の構成資産
構成資産(遺跡) | 北海道 | キウス周堤墓群(千歳市)、入江・高砂貝塚(洞爺湖町)、北黄金貝塚(伊達市)、垣ノ島遺跡(函館市)、大船遺跡(函館市) |
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青森県 | 特別史跡 三内丸山遺跡(青森市)、小牧野遺跡(青森市)、大森勝山遺跡(弘前市)、是川石器時代遺跡(八戸市)、田小屋野貝塚(つがる市)、亀ヶ岡石器時代遺跡(つがる市)、大平山元遺跡(外ヶ浜町)、二ッ森貝塚(七戸町) | |
岩手県 | 御所野遺跡(一戸町) | |
秋田県 | 特別史跡 大湯環状列石(鹿角市)、伊勢堂岱遺跡(北秋田市) |
これまでの取り組み
平成19年12月 | 「北海道・北東北の縄文遺跡群」について提案書を文化庁に提出 |
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平成21年1月 | 「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」がユネスコの世界遺産暫定一覧表に記載される。 |
平成21年6月 | 縄文遺跡群世界遺産登録推進本部を設置 |
平成25年3月 | 「北海道・北東北の縄文遺跡群」推薦書協議案を文化庁に提出 |
平成25年7月 | 「北海道・北東北の縄文遺跡群」推薦書原案を文化庁に提出 |
平成26年3月 | 平成25年度準備状況報告書を文化庁に提出 |
平成26年12月 | 平成27年度の推薦候補案件は下記の4案件から選定されることに決定
|
平成27年3月 | 平成26年度準備状況報告書を文化庁に提出 |
平成27年7月 | 文化審議会世界文化遺産特別委員会で「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県)」が次期推薦候補に決定 |
平成28年3月 | 平成27年度準備状況報告書を文化庁へ提出 |
平成28年7月 | 文化審議会世界文化遺産特別委員会で「長崎教会群」が次期推薦候補に再決定 |
平成29年7月 | 文化審議会世界文化遺産部会で「百舌鳥・古市古墳群」が次期推薦候補に決定 |
平成30年7月 | 文化審議会世界文化遺産部会で「北海道・北東北の縄文遺跡群」を2018年(平成30年度)の世界文化遺産推薦候補に選定 |
平成31年2月 | 同年から文化遺産・自然遺産をあわせて1国1件のみをユネスコへ推薦する方式に変更されたことから、自然遺産候補「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が優先され、「縄文遺跡群」の推薦は見送られる。 |
令和元年7月 | 文化審議会世界文化遺産部会で「北海道・北東北の縄文遺跡群」を2019年(令和元年度)の世界文化遺産推薦候補に選定 |
令和元年12月 | 閣議において、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の推薦書をユネスコへ提出することが了解される。 |
令和2年1月 | 政府が「北海道・北東北の縄文遺跡群」の推薦書をユネスコへ提出 (推薦資産の名称「Jomon Prehistric Sites in Northern Japan」) |
令和2年9月 | ユネスコの諮問機関であるイコモス(国際記念物会議)により現地調査を実施 |
令和3年5月 | イコモスにより、世界遺産に登録することが適当であるとの勧告がなされる。 |
令和3年7月 | 第44回ユネスコ世界遺産委員会において、世界遺産への登録が決定される。 |
北黄金貝塚に関連する取り組み
開催日 | 内容など |
---|---|
令和3年2月 | 「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産登録推進フォーラム ※オンラインでの開催になりました(当市学芸員による報告あり) 令和2年度世界遺産登録推進フォーラム(外部リンク) |
令和元年7月27日(日曜日) ※この催しは終了しました |
「北の縄文セミナー@チカホ」 場所:札幌駅前通地下歩行空間(札幌駅側イベントスペース) ※「縄文時代の、とあるムラに日常」(当市学芸員による報告あり) |
平成30年1月28日(日曜日) ※この催しは終了しました |
「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産登録推進フォーラム 場所:有楽町朝日ホール(東京都千代田区) ※「貝塚で語る北海道・北東北の縄文遺跡群」(当市学芸員による報告あり) |
平成29年12月24日(日曜日) ※この催しは終了しました |
「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産登録推進フォーラム 場所:秋田県生涯学習センター(秋田市) ※「貝塚で語る北海道・北東北の縄文遺跡群」(当市学芸員による報告あり) |
平成29年12月10日(日曜日) ※この催しは終了しました |
「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産登録推進フォーラム 場所:ホテルポールスター札幌(札幌市) ※「貝塚で語る北海道・北東北の縄文遺跡群」(当市学芸員による報告あり) |
平成29年11月11日(土曜日) ※この催しは終了しました |
札幌国際大学縄文世界遺産研究室主催 講演会と地域おこし「北海道・北東北の縄文遺跡群」 場所:札幌国際大学(札幌市) ※「縄文遺跡を活用したまちづくりと世界遺産」(当市学芸員による基調講演) |
平成28年3月5日(土曜日) ※この催しは終了しました |
「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産登録推進フォーラムー-跡が語る北海道・北東北の縄文- 場所:秋田アトリオン(秋田市) ※「貝塚からわかる縄文時代の食・環境・心」(当市学芸員による報告あり) |
平成27年11月29日(日曜日) ※この催しは終了しました |
縄文遺跡群世界遺産登録推進フォーラムin 伊達 場所:カルチャーセンターハーパーホール |
平成27年10月5日(月曜日)から11月30日(月曜日) ※この催しは終了しました |
特別展「秋田県 伊勢堂岱遺跡のストーンサークル」 場所:北黄金貝塚情報センター |
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教育委員会生涯学習課文化財係
電話 0142-82-3299